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- 聖王国・公国版 年表
聖王国・公国版 年表
- 聖王国のケルムト正教が原初の異形と邂逅このとき、正教がヴァンパイアの種族的特徴を理解する。神暦633年
- 公国と聖王国の国交が始まる同年
- 偽造血液の研究開発開始国交の上で、ヴァンパイアがエルフの血液を吸うために惨殺するという事件が多発し、それを抑えるため正教はソフェリエルに吸血の禁止を要求。これを拒まれたため、血液の代理となる薬品の研究を開始すると宣言。同年
- ソフェリエルの行方不明者ソフェリエルで3名のヴァンパイアが行方不明となる。神暦634年
- 偽造血液の輸出開始開発されていた薬品が、血に渇いたソフェリエルに向けて一斉に輸出される。神暦635年
- ソフェリエルで狂獣病が蔓延ソフェリエルでは普段と同じように、夜に月が赤く染まったが、それと同時にミュルグヴィズ製の偽造血液を飲んだヴァンパイアが、次々と悲鳴とともに異形へと変わり始める。
正教は月になんらかの強大な存在が存在し、ヴァンパイアに力を与えていると仮定し、その存在との交信を試みるために、正教の上層部数名に偽造血液を投与、ソフェリエルへと派遣。同年 - 血族の誕生荒れ果てた国内を見た国父ヴラドは、自らの血を仕える騎士達に分け与えた。この力を用いて神秘を成し、異形を狩る存在《血族》が誕生した。血族は国父の血の加護を受けており、長期間吸血をしなくても渇くことが少なくなり、また、狂獣病に対しても多少の耐性を得るようになった。この時期の血族を《古騎士》と呼ぶ。
また、ミュルグヴィズにより送り込まれた正教の上層部は、ヴァンパイアよりも強力な異形と化したが、それも血族に狩られてしまう。辛うじて生き残った一体が、帰巣本能からかミュルグヴィズへ帰還するものの、すぐさまに衰弱死してしまう。彼は正教の中でも信仰心が篤く、教養も深い存在であったようで、正教は彼を最上位個体と呼び、狂獣の病を克したと捉える。そこで、異形の血を投与せずとも、異形の力を得られるようにと、ミュルグヴィズから月への交信を試みる儀式が始まった。これに用いられるのは、ソフェリエルの異形の脳に、彼らの瞳を無理やり埋め込んだものだ。正教における瞳とは即ち、人間以上の超越した思考におけるものの見方であり、それを得ることで、遥か彼方の月と交信しようというものだった。同年 - ヴラド公の死己の信条に従い、吸血を拒んできたヴラド公が斃れてしまう。この混乱に乗じ、ミュルグヴィズの神殿騎士団がソフェリエルへと侵攻、公族やその従者などを次々と処刑する中、古騎士達はまだ幼子だったヴラド2世を連れて脱出。旧王都は放棄され名称を《新月街》と改め、神殿騎士団が去ってから新たな首都でヴラド2世による統治が始まった。神暦665年
- 第二世代の血族の誕生しかし病は蔓延したままであり、むしろ異形は以前よりも増えている。死ぬ古騎士も増え、新たな騎士を生み出さねばならないと、ヴラド2世の血を新たな従者達に分け与え、古騎士達の後継と成した。こうして、二世代による狩りの夜が始まったのである。神暦716年
要約
- ケルムト正教の当初の目的は《エルフの不老不死化》だった。
- ケルムト正教はソフェリエルのヴァンパイアを攫い、人体実験を行っていた。
- 即ち、狂獣病の蔓延の原因はケルムト正教である。
- 攫われたヴァンパイアの女性は、原初の異形と性交を強要させられ、異形との子を孕んだ。
- 異形との子は頭だけが肥大化しており、ぶよぶよとした皮で覆われている。そこから、何らかの体液が常に滴っていた。
- ケルムト正教はこの液体を用いて、二人目のヴァンパイアに投与する実験を行う。
→結果として、赤い月の夜に発狂して獣と化したが、外に出すまでは数ヶ月吸血しなくとも生き延びていたし、
不健康にもならなかった。 - この時点で正教は、月に《原初の異形》と同等の存在がいると仮定し、交信を行うための瞳=超越的思想を得ようとする。
- ソフェリエルに送り込んだ聖職者が、異形となりつつも自我を保ちミュルグヴィズへと帰還したが衰弱死した。
- 異形の力を克する=原初の異形と同等の存在になる=不老不死になる、その為には知識が必要であるとし、しかしそれは異形にならねば得ることはできないと正教は捉える。
- 知識=瞳の表現は徐々に誤解され、事実、月との交信の儀式には異形の瞳を無理やり脳に埋め込むことで行っていた。
- ケルムト正教は当初の目的から大幅に脱線し、《原初の異形》との一致と、月との交信=異形の病を克するための瞳を得るというものに変貌し、度々ヴァンパイアを攫っては眼球を抉り取るという蛮行を働くようにもなる。
- この頃から、正教内にも偽造血液=ヴァンパイアと異形の子の体液を飲むものが現れており、狂獣病は、直接赤い月を見ない為に非常にゆっくりとしたペースである上、獣となることは少ないが、その知識の本流に人格が破綻してしまう者が増えていく病として、正教で蔓延しつつあった。